災害大国ニッポンに欠かせない不動産情報、実は詳細が公表済みだった


 日本は災害が非常に多い国である。大災害が起きる度に、さまざまな法律が改正されてきた歴史がある。もし、自宅で被災すると、命の危険があるだけでなく、資産を失ったり、不自由な生活を強いられたりする。だからこそ、さまざまな災害情報は整備されてきている。備えあれば憂いなしなので、被災しない知識をそろえておこう。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)


● 災害は不動産の価値を二極化させる  「地震が起きたら、不動産価格は暴落する」というのは嘘だ。東日本大震災が起きた後、高台の不動産価格は軒並み大きくはね上がっている。その一方で、津波をかぶった地域の不動産取引はほぼ成立しなくなった。つまり、不動産への見方が変わり、価格が二極化してしまうのだ。それは、忘れていた災害リスクを価格に織り込んだことを意味する。  こうした人の移動は、これまで潮の満ち引きのように揺れ動いてきた。東日本大震災後、東京湾岸のエリアでは液状化現象が起こり、生活が困難になるほどの被害を受けた地域もある。そうした場所では不動産価格が大幅に下落し、住み替えができた方は限定的になった。住宅ローンの残元本を不動産売却価格が下回ると売るに売れなくなるからである。  そうしたエリアの賃貸の方は、地盤の固いところに移転する例が多い。温故知新で、台地やお屋敷街が好まれ、造成や埋め立てによってできたエリアは避けられる傾向にあった。しかし、これも時がたつと「人の噂も七十五日」と言わんばかりに災害の深刻さを忘れていく。災害と居住地の関係は残念ながら、パニックと忘却の繰り返しの歴史である。  なお東京都は、災害リスクを精緻に調べて公表している。代表的なものは、独自に算定している「地震に関する地域危険度測定調査」であり、5133の町丁目に細分化し、数値化されている。指標は、建物倒壊と火災の二つがあり、これらをまとめた「総合危険度」の三つがある。地図になってもいるので、一目瞭然で分かりやすい。少なくともこうした公表資料は参照しておきたい。

 

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